〜お坊さんメモ〜その28〜
各周忌、回忌を司る仏様をまとめてみました。
〜お坊さんメモ〜その28〜では一周忌を司る勢至菩薩の紹介です。
忌日:一周忌
逆修日:九月二三日
三昧耶形:蓮華(末敷蓮華)
種子:サク
真言:オン サンザンザンサク ソワカ
説明:勢至菩薩という名は「大きな勢いで衆生を悟りに至らせる」という意味でその姿は左手につぼみの蓮華を持っている。つぼみの蓮華は衆生本有の浄菩提心をあらわしている。左手は胸の所で掌を仰ぎ指先を左の方に向け指を屈し人差し指だけを伸ばしている姿が一般的である。頭には宝冠をかぶり、その上には智慧をあらわす宝瓶をのせ、赤い蓮華台に座している。観音菩薩の慈悲に対し勢至菩薩は亡者を智慧の光明と威神力によって励ましながら浄土におもむく手助けをしてくれる。三千世界はもとより大魔王の宮殿も揺るがす程の威勢があるといわれ、智慧の力強さに例えられている。このような偉大な力によって地獄、餓鬼、畜生の三途の苦しみから救い出し衆生の迷いを取り除いてくれる。大悲心がすぐれて自在で衆生の菩提心を育むことを司る。『大日経』のなかでは「大勢至菩薩」という名で登場し胎蔵曼荼羅では蓮華部院の一尊としてあらわされている。また、観音菩薩とともに阿弥陀如来の脇侍で阿弥陀三尊の一尊でもある。
画像:画僧 牧宥恵 作 「正楽院大曼荼羅」胎蔵曼荼羅より